労基法違反による送検事例

東京労働局から「平成 26年度司法処理状況」が
発表されましたが、これによると1年間(平成26年4月
~平成27年3月)の間に、東京労働局と管下の18労働
基準監督署・支署が東京地方検察庁へ送検した
司法事件は54件(前年度比4件減少)だったそうです。
業種別では、建設業(22件)、製造業(9件)、
接客業(5件)が上位を占め、違反事項別では、
賃金・退職金不払(17件)、死亡災害等を契機とした
危険防止措置義務違反(12件)、労災隠しが(11件)
が上位を占めました。
以下では、東京労働局が公表した送検事例のうち、
労働基準法・最低賃金法違反に関する事例を
ご紹介します。
①違反事例
託児所を営むA社は、労働者Bの平成24年1月分賃金
(17,250円)および労働者Cの同年2月分賃金
(80,690円)の合計97,940円を所定の各賃金支払期日
である同年2月29日、同年4月4日に全額支払わず、
且つ法で定める最低賃金をも支払わなかった。
労働者14名が不払賃金(合計約221万6,000円)の
行政指導による救済を求め労働基準監督署に申告に
及んでいたが、 A社は労働基準監督署の行政指導に
従わなかった。
A社の代表者は再三の出頭要求に応じなかったことなど
から、逮捕のうえ、送検された。
②違反事例
パン製造販売業を営む会社のパートタイム労働者3名
(時給900円~950円、1日の所定労働時間6時間)に対し、
平成25 年12月1日から同月31 日までの間、最長で月 139
時間に達する時間外労働を行わせ、もって時間外労働協定
の延長時間の限度を超える違法な時間外労働を行わせて
いた。
また、同期間、本来支払うべき時間外労働に対する割増賃金
のち3割程度しか支払っていなかった (1人当たり最大で
約11 万円/月の時間外手当不払が発生していた)。
[労働局の今後の方針]
同労働局では、過重労働による健康障害を発生させた企
業等であって違法な長時間労働を繰り返すなど「重大・悪質
な労働基準法違反」の事案に対しては、積極的に捜査を
行い、送検手続をとる方針とのことです。

(2015年7月4日)