「社会保険未加入事業所」

厚生労働省は、3月末に「社会保険の加入状況
にかかる実態調査」の結果を公表しました。
この調査は社会保険の未加入が疑われ
る約63万事業所を対象に実施したものですが、
「未加入」と回答した事業所は13万5,490事業所
でした。そのうち、加入手続を行っていない
事業所は6万4,446事業所でした。
未加入の理由として、約6割の事業所が
「保険料の負担が困難」であることを挙げて
います。
なお、未加入被保険者が多い業種は「不動産業」
11.3%、「建設業」8.5%、「料理・飲食店業」6.9%、
「飲食料品小売業」6.5%でした。
厚生労働省はこの調査結果を踏まえ、この4月
から社会保険の加入促進をより一層強化する
ことを明らかにしています。
具体的な対策として、「飲食業」「理容・美容業」
「社会福祉事業」が新規事業所の許可申請を
行う際には、社会保険の加入状況を確認
することになります。従来は「建設業」や「運送業」
が国土交通省に許可申請の際に加入状況の
確認行っていましたが、新たに対象業種が
追加されることになりました。
加入が確認できなかった場合には、日本年金機構
や各都道府県の労働局へ通報し、加入勧奨を
行います。
この取組みは今年7月から実施が予定され、
今後は厚生労働省の所管以外の業種にも
要請をするとしています。
また、既存の事業所への対策として、加入すべき
被保険者数が5人以上の事業所から優先的に
加入指導を行い、意図的に届出を行わない
事業所には立入り検査を実施します。
近年の社会保険加入促進の取組みとして、
平成27年度からは、国税庁の情報提供を受けた
ことにより、従業員の給与を支払っている事業所
の把握が可能となりましたが、そのデータを加入
指導に活用したことにより、加入につなげることが
できているようです。
今後はより効率的に事業者調査を実施し、
加入指導を行うとしています。

(2017年5月3日)