新企業年金(適格退職年金) 退職金倒産

当社は、現在、生命保険会社から勧められた「新企業年金(適格退職年金)」に加入し、退職金の準備をしておりますが、最近、「退職金倒産」という話も聞きますが、どの様な事でしょうか?
「退職金倒産」を引き起こす根本原因は、退職金の支払い資金の準備ができていないことと、退職金は、賃金(労働債権)かどうかという問題です。 この問題により、企業倒産した事例として、「八戸漁業連合会」と「はちのへ漁協」の事例が有名です。 経営困難になった両者(負債総額266億円)が統合による再建を目指していました。然し、はちのへ漁協の元職員により申し立てされていた1,400万の退職金支払いを裁判所が認めたことにより、他の債権者が資産差し押さえした場合に自力経営困難になると判断し、両者は、民事再生法の適用を申請しました。いわばこれが「退職金倒産」ですね。 この事例は規定されている「退職金」は「賃金」であり、「労働債権」との考え方に基づいています。「労働債権」は、先取特権という担保権で保護されているので、企業に資産があれば差し押さえが可能です。ですから、退職金倒産する企業は、この事例の様に資産や売掛金等が差し押さえられる事が、多いのです。 「退職金」問題は今や、人事・労務問題でなく、キャッシュフローの観点から考えて、企業の経営問題です。1年先延ばしにすれば、従業員は1歳年齢が上がり、積み立て不足も増えます。 まずは、現状の「退職金」の分析を行って頂き、現実を直視して下さい。