懲戒処分の状況はどうなっているの?

最近、当社社員が就業規則違反を犯しましたので、懲戒を行いたいと思っていますが、他社の懲戒処分の状況はどうなっているのですか?
近年、労使トラブルは増加傾向にありますが、それに伴い懲戒処分を
実施する(または実施を検討する)企業も増えているようです。
ここでは、独立行政法人労働政策研究・研修機構から今年7月末に
発表された「従業員の採用と退職に関する実態調査」(常用労働者
50 人以上を雇用している全国の民間企業5,964社が回答)の結果から、
企業における懲戒処分の状況について見てみました。
「1]懲戒処分の規定内容
まず、懲戒処分の規定が「ある」企業の割合は 94.6%で、規定の
ある企業を対象にその規定の形式を尋ねたところ、ほとんどの
企業(98.1%)が「就業規則」に規定していることがわかりました。
なお、「労働協約」で定めている企業は6.4%でした。
規定内容は、割合の高い順に
①「必要な場合には懲戒処分を行う旨の規定」(75.7%)、
②「懲戒処分の種類」(69.9%)、
③「懲戒の対象となる事由」(61.9%)となっています。

[2]最近5年間における実施状況
ここ5年間での懲戒処分の種類ごとの実施割合は、
次の通りとなっています。
(1)始末書の提出(42.3%)
(2)注意・戒告・譴責(33.3%)
(3)一時的減給(19.0%)
(4)降格・降職(14.9%)
(5)懲戒解雇(13.2%)
(6)出勤停止(12.3%)
(7)諭旨解雇(9.4%)
なお、「いずれの懲戒処分も実施していない」企業の割合は
39.0%でした。

「3]懲戒処分実施時の手続き
懲戒処分を実施する際の手続きとして法律で定められた
要件はありませんが、
一般的には「理由の開示」、「本人の弁明機会の付与」が
必要とされています。
また、「労働組合や従業員代表への説明・協議」を行うこと
により、本人以外の従業員の納得性を高めることもできます
ので、実施する際には慎重な配慮が必要でしょう。

(2013年10月29日)