基本手当の給付制限

会社を退職すると雇用保険の被保険者資格は喪失となり、
会社がハローワークで手続きを行うことにより、退職者は
離職票の交付を受けることになります。
その離職票を、退職者がハローワークに持参して手続きを
することで、基本手当が受給できますが、自己都合での
退職の場合には、原則として3ヶ月間の給付制限期間が
設けられます。
これに関連し、厚生労働省で「労働政策審議会雇用保険部会」が
開催され、この給付制限期間について見直す内容等が盛り込まれた
報告書案が資料として公開されました。
報告書案では、以下のとおり、給付制限期間を5年間のうち2回までに
限り2ヶ月に短縮する措置を試行するというものであり、
2年間を目途にその効果を検証するとしています。
1.基本手当のあり方について
(1)自己都合離職者の給付制限期間について
「特定受給資格者及び特定理由離職者以外の一般の受給資格者のうち、
自己都合(正当理由なし)により離職した者に対しては、昭和59年から
現在に至るまで、3箇月間の給付制限期間が設定されているところである。
これについて、安易な離職を防止するという給付制限の趣旨に留意しつつ、
転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行うことができるよう支援
する観点から、その給付制限期間を5年間のうち2回までに限り2箇月に
短縮する措置を試行することとし、その効果等を施行後2年を目途として
検証するべきである」。
この他にも、離職票の被保険者期間としてカウントする月を、現状の
日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定する見直しについても
盛り込まれており、具体的には、従来の「賃金支払の基礎となった日数が
11日以上である月」の条件が満たせない場合でも、「当該月における
労働時間が80時間以上」であることを満たす場合には算入できるように
するべきとなっています。来年の通常国会への法案提出を想定している
と思われるため、今後の動向をチェックしていく必要がありそうです。
(2019年12月24日)