遺族年金18億円を過払い

国民年金や厚生年金の加入者が亡く
なった時に遺族が受け取る「遺族年金」
について、会計検査院が調べたところ、
受給資格を失っていた約1,000人に対し、
日本年金機構が約18億円を過払いして
いたことがわかりました。
会計検査院は、日本年金機構に返還
手続をとらせるよう厚生労働省に求める
方針ですが、約8億円分は返還を請求
できる権利の時効(5年)が成立しており、
返還は見込めないようです。
遺族年金には、国民年金に加入して
いた人が亡くなった場合などに受け
取れる「遺族基礎年金」と、厚生年金保険
に加入していた人が亡くなった場合などに
受け取れる「遺族厚生年金」があります。
支給対象者は前者が「子どもがいる配偶者」
か「子ども」、後者は「妻」「子どもと孫」
「55歳以上の夫・父母・祖父母」です。
夫を亡くした妻が再婚するなどして遺族年金の
受給資格を失った場合には、年金事務所に
届け出る必要があります。
今回、2014~2016年度に資格を失ったと
届け出た約2,700人について会計検査院が
調べたところ、届出が期限を過ぎていた
約950人に約17億円が過大に支払われて
いました。
このほか、受給者7,000人のサンプル調査
の結果、受給資格を失っていたことを届け
出ていない人が二十数人いて、
約1億6,000万円が過大に支払われていました。
中には、資格を失った人に50年以上も支給
していたケースもあったそうです。
年金事務所は、失権届の記載内容を住民
基本台帳ネットワーク(住基ネット)や戸籍と
照合しておらず、受給資格の喪失時期の
確認を怠っていました。
会計検査院は、日本年金機構に時効が成立
していない分の返還手続を取らせるとともに、
受給資格の確認を徹底するよう、厚生労働省
に求める方針です。
同省は「今後は適切に処理するよう年金機構に
指示している」としていますが、すでに支払って
しまった分の回収は困難なものになりそうです.

(2017年11月29日)