生活保護と国民年金

①生活保護の支給額削減へ

現在、厚生労働省は生活保護の支給額削減を検討しています。国民年金は少子高齢化に伴って中長期的に減額となる可能性が高く、”このままでは保険料を払わず老後を安易に生活保護に頼る人が増える”との指摘があるように、年金保険料を長年払い続けてきた人より、保険料を払わないで生活保護を受ける人の所得が多いケースがあるためです。2007年度から、段階的に国民年金(基礎年金)の支給額以下に引き下げる方針です。

②生活保護とは

生活保護は、生活、教育、医療、介護など8種類の扶助があります。医療扶助および介護扶助は、医療機関等に委託して行う現物給付が原則であり、それ以外は金銭給付が原則です。厚生労働大臣が定める基準で測定される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用され、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。収入としては、就労による収入、年金等社会保障の給付、親族による援助、交通事故の補償等のほか預貯金、保険の払戻金、不動産等の資産の売却収入等も認定されるため、これらを使い尽くした後に初めて保護適用となります。

③生活保護世帯数の増加

生活保護を受けている世帯数は、2004年度は月平均で99万8,887世帯でした。1995年度は平均60万1,925世帯であったことから、ほぼ10年で約1.6倍にまで増えたこととなります。生活保護を受ける世帯は高齢者世帯が多く、その背景には、年金保険料未納など、年金制度の空洞化問題があります。

④それぞれの支給額は?

それぞれの支給額はどうなっているのでしょう。国民年金では、40年間保険料を払い続けた人で

月額約6万6,000円であるのに対し、生活保護の支給額は年齢や地域によってそれぞれ異なりますが、生活扶助分のみで8万円を超え、さらに家賃を払っている場合に上限が約1万円の住宅扶助が加算されるケースもあります。
(06/04)