「うつ病検査」を義務化へ

2008年度のうつ病を含む精神障害などの労災請求件数は927件
(3年で41.3%増)、認定件数は269件(3年で111.8%増)となっており、
増加傾向にあります。
そこで、厚生労働省では、企業が実施している健康診断において、うつ病などの
精神疾患に関する検査を義務付ける方針を明らかにしました。
2011年度からの実施を目指すとしており、同省が1月に設置した「自殺・うつ病等
対策プロジェクトチーム」が今後まとめる報告書に盛り込まれる予定で、
労働安全衛生法の改正(または厚生労働省令の改正)により対応していくものと
思われます。
日本では、平成10年から12年連続で毎年3万人を超える人が自殺しており、
人口10万人当たりの自殺死亡率(自殺による死亡率)は、欧米の先進諸国と
比較して突出して高い水準にあります。
また、うつ病の患者数は2008年には100万人を超えています。これらうつ病を
はじめとする精神疾患の増加が、高い自殺死亡率の背景にあると言われているため、
自殺防止対策とあわせて、うつ病・メンタルヘルス対策への対策が急務とされて
いました。
健康診断における「うつ病検査」の実施が、うつ病などの精神疾患の減少に
つながることが期待されていますが、政府・厚生労働省の対策に頼るだけでなく、
職場・地域・家庭におけるうつ病・メンタルヘルス対策への一層の取組みが
期待されるところです。