「天引き貯蓄」制度の活用

 住宅購入や老後の準備などのため、将来を考えると様々なお金の
準備が必要となりますが、そのための制度の一つとして「天引き貯蓄」
があります。
「天引き貯蓄」は、毎月の給料が支給される段階で貯蓄額が自動的に
差し引かれるため、「資産形成の王道」とも言われています。
天引き貯蓄の筆頭格は、厚生労働省が所管する「財形貯蓄制度」です。
同省の調査によれば、社員数1,000人以上の大企業の約8割が従業員
向けに実施しているということです。
 
財形貯蓄には「一般財形貯蓄」、「財形住宅貯蓄」、「財形年金貯蓄」
の3種類があります。預け先は、勤務先企業が契約する銀行の定期預金
が一般的ですが、投資信託や生命保険などを選べる場合もあります。
「一般財形」は3年以上積み立てることが条件ですが、開始から
1年経てば目的を問わず引き出すことが可能です。
ただし、預け先の銀行ATMから引き出せるわけではなく、会社での
手続きが必要です。
一方、「住宅財形」と「年金財形」はそれぞれ「住宅資金」
「老後資金」と目的がはっきりしています。原則として5年以上
積み立てれば、利息などが非課税となる特典があります。
しかし、目的以外の理由で引き出すと、引き出しが行われた月から
遡って5年間に生じた利息のすべてが20%の課税となるため注意が
必要です。
財形貯蓄をすると、独自の融資制度を利用することも可能で、
財形住宅融資(財形持家融資)では購入の他、増改築やリフォーム資金
を借りることもできます。返済期間は最長35年、金利は5年固定で、
今年2月時点では年1.5%と、民間銀行より低い金利となっています。
また、形式上は勤務先の社内融資になるため、融資審査では年収などが
重視されず、銀行の住宅ローンが借りられなくても、財形融資では
借りられる場合があります。年収が未だ十分ではない若い社員には、
魅力的な制度かもしれませんね。

(11年7月)