精神障害者の雇用

企業が達成しなければならない障害者の法定雇用率
(従業員に占める障害者の割合)は、一般企業については
現在「1.8%」ですが、これが平成25年 4月から「2.0%」
へ引き上げられます。
未達成企業は、不足する1人分当たり5万円を国に納付
しなければなりません。
また、すでに障害者を雇用する企業については、障害者の
雇用に関する状況の報告が毎年1回必要ですが、その義務が
課される企業規模も変更されます。
現行の労働者数「56人以上」から「50人以上」となりますので、
該当する企業は注意が必要です。
また、厚生労働省では「精神障害者の雇用義務付け」について
の議論が行われています。
現行の法定雇用率は、身体障害者と知的障害者だけを算定の根拠
にしていますが、新たに精神障害者の雇用義務付けがなされると
算定の仕方が変わり、雇用率が引き上げられる可能性もあります。
こうした制度改正への対応も含めて、障害者を積極的に雇用し、
経営に生かそうとする動きも出てきています。
スーパーでは開店前の清掃や品出し等で働いてもらったり、
資本のある企業では、特例子会社を設立したりするところも
あるそうです。
現在、人材紹介会社には求人依頼が殺到しており、対応の早い
企業では、優秀な技能を持つ精神障害者を獲得しようと
動き出しています。
精神障害には様々な種類や症状の程度があります。
「精神障害者」といっても、接客のような仕事には
向かないけれども、コンピュータのプログラミング能力が
非常に優れているなど、企業が適材適所で雇用すれば貴重な
戦力となる方も多くいるのが事実です。
急速な高齢化の進む中、今後の雇用戦略を考えるうえでは、
こうした積極的な障害者雇用も検討してみる必要があるようです。
ただ、精神障害者の約40%が採用後6カ月未満で退職している
という厚生労働省の調査結果もあります。
障害者の採用と労務管理については、企業の体制整備が不可欠でしょう。

(2012年12月27日)