「帰宅困難者対策条例」

東日本大震災で500万人を超える帰宅困難者が出た首都圏では、
震災から2年が経ち、駅周辺の施設を中心に帰宅困難者を受け
入れるスペースを設ける動きが広がっているほか、企業が協力
して帰宅困難者を受け入れる訓練も次々に行われています。
行政機関では、東京都が帰宅困難者をその場にとどめるため、
水や食料の備蓄を企業などに求める「帰宅困難者対策条例」を
来月から施行します。
施行を前に、水や食料を備蓄する動きが本格化しているようです。
大規模災害が発生し、鉄道等が復旧しない中、多くの人が帰宅を
開始すると、救助・救援活動等に支障が生じる可能性があります。
こうした事態をできるだけ軽減するための対策として都、住民、
企業の役割などを東京都が条例として定めたもので、
2013年4月1日施行予定で、企業には次のような取組みを
求めています。
①従業員の一斉帰宅の抑制(施設の安全確認と3日分の食料等備蓄)
②従業員との連絡手段の確保などの事前準備(従業員との連絡手段
 確保と、従業員に対して家族との連絡手段の複数確保の周知)
③事業所防災計画の策定

東京経営者協会が行った「東京都帰宅困難者対策条例への企業の
対応に関するアンケート」の結果によると、「一斉帰宅抑制方針」
を定めている企業は57.0%で、何らかの「備蓄をしている」企業は
93.0%、などとなっており、企業の帰宅困難者対策に関する意識は
高いことが伺えます。
一方、条例施行後に企業として懸念する点として、「待機させた
従業員がその後の余震などで被災した場合の会社の責任」や、
「帰宅させた従業員が帰宅途中で被災した場合の会社の責任」などの
従業員に対する企業の責任に関する懸念が上位を占めました。
また、通行人や被災者を受け入れる際の備蓄品の不足など、社外の
者の受入れに対する関する懸念や、通行人を社屋に入れ設備を毀損した
場合の責任に関する懸念なども挙げられました。
今後、巨大な地震が起こる確率は首都圏に限らず全国的に高いと
言われており、企業の防災対策は必然と言っても過言ではありません。
東日本大震災から2年が経った今、企業として備えておくべきことを
再確認してみてはいかがでしょうか。

(2013年3月27日)