正社員とパートの諸手当格差

厚生労働省の「平成22年就労条件総合踏査」の結果
によると、手当項目別に支給企業数が多い順に
通勤手当、役付手当、家族手当、技能・技術(資格)手当、
住宅手当となっています。
規模に応じて設ける手当の傾向が分かれており、
小規模企業では精皆勤手当・出勤手当が多く、
大規模企業では住宅手当、調整手当、特殊勤務手当、
単身赴任手当、別居手当、地域(勤務地)手当、
特殊作業手当を設けるところが多くなっています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業の
諸手当等の人事処遇制度に関する調査」の結果に
よると、正社員とパート社員では付ける手当に違い
が見られます。
どちらも通勤手当と役付手当が上位2つですが、
正社員では次いで家族手当、技能手当・技術(資格)手当、
住宅手当が多いのに対し、パート社員では業績手当
(個人、部門、グループ等)、技能手当・技術(資格)手当、
精皆勤手当・出勤手当が多くなっています。
上記の調査結果によれば、通勤手当の1人当たり支給額
(月単位)は、正社員12,477円、パート社員7,710円と
なっています。

支給額について、39.3%の企業が上限額を設けており、
その平均額は34,260円ですが、上限額に関する規定は
大規模企業ほど設けているところが多いという特徴が
見られます。
なお、正社員に通勤手当を支給する企業の割合が89.8%
なのに対し、パート社員では76.4%と差が見られますが、
この理由については、
①交通費がかからない者を採用している(30.2%)、
②交通費は基本給に含めて支給している(25.8%)、
③自転車通勤のため算定困難(14.3%)
となっています。

本年4月に公布され、来春施行の「改正パートタイム
労働法」では、短時間労働者であることを理由とする
不合理な差別的取扱いが禁止されることとなり、
通勤手当についても違いを設ける場合には合理的な
理由が必要となります。
貴社の規定を、今一度チェックされることをお勧めします。

(2014年9月26日)