ブラック企業の企業名公表

厚生労働省は、先般、いわゆる「ブラック企業」
対策として、違法な長時間労働を繰り返している
企業に対する指導・公表について、その方針を
固めました。
この方針は、5月19日の「平成27年度臨時全国
労働局長会議」で示され、その会議資料が
厚生労働省のホームページで公開されています。
その資料によると、長時間労働に係る労働基準法
違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善
を促すため、社会的に影響力の大きい企業が違法
な長時間労働を複数の事業場で繰り返している場合、
都道府県労働局長が経営トップに対して、全社的
な早期是正について指導するとともに、その事実を
公表するとしています。
都道府県労働局長による指導・公表の対象とする
具体的な基準は以下の通りで、①および②のいずれ
にも当てはまる事案となっています。
①「社会的に影響力の大きい企業」であること
 具体的には、「複数の都道府県に事業場を有している
企業」であって「中小企業に該当しないもの(※)」で
あること
※中小企業基本法に規定する「中小企業者」に該当
しない企業
②「違法な長時間労働」が「相当数の労働者」に認められ、
このような実態が「一定期間内に複数の事業場で繰り
返されている」こと
1.「違法な長時間労働」について
 具体的には、①労働時間、休日、割増賃金に係る
労働基準法違反が認められ、かつ、②1ヶ月当たりの
時間外・休日労働時間が100時間を超えている事
2.「相当数の労働者」について
 具体的には、1箇所の事業場において、10人以上
の労働者又は当該事業場の4分の1以上の労働者に
おいて、「違法な長時間労働」が認められる事
3.「一定期間内に複数の事業場で繰り返されている」
について
 具体的には、概ね1年程度の期間に3箇所以上の
事業場で「違法な長時間労働」が認められる事
 なお、実施は平成27年5月18日からで、既に
開始されています。今回の企業名公表は、影響の
大きい大企業を中心とした措置になりますが、
中小企業においても過重労働の対策を、更に一層、
力を入れることが求められます。

(2015年5月28日)