「同一労働同一賃金」

厚生労働省の労働政策審議会は6月9日、「同一賃金
同一労働」に関する法整備について検討してきた結論
を報告書にまとめました。
これを受けて政府は関連法案をまとめ、秋の臨時
国会に提出する予定です。
以下、報告書の骨子をご紹介します。
①短時間労働者・有期契約労働者の待遇差の
「考慮要素」を明確化
待遇差が不合理と認められるか否かの判断は、
個々の待遇ごとに、その性質・目的に対応する
考慮要素で判断されるべき点を明確化し、
「待遇の性質・目的」は実態を踏まえて判断
されることに留意が必要としました。
また、「考慮要素」として内容を明記すべき事項
として、新たに「職務の成果」「能力」「経験」が
明記されました。
なお、現行法においては短時間労働者について
のみ規定されている「均等待遇規定」(通常の
労働者と同視すべき短時間労働者について,
通常の労働者よりも不利益な取扱いをすること
を禁止)を、フルタイムの有期契約労働者に
ついても対象とすべきとしています。
②派遣の待遇決定の方法は選択制に
派遣労働者の待遇を決める方法として、
(イ)派遣先の労働者との均等・均衡による
待遇改善、
(ロ)労使協定による一定水準を満たす
待遇決定による待遇改善のいずれかの
選択制とします。
具体的には、(イ)については、派遣労働者
と派遣先労働者の待遇差について、短時間
労働者・有期契約労働者と同様の均等・均衡
待遇規定を設けたうえで、派遣元事業主が
この規定に基づく義務を履行できるよう、
派遣先に対し、派遣先の労働者の賃金等の
待遇に関する情報提供義務を課すとともに、
派遣元事業主は、派遣先からの情報提供
がない場合は、労働者派遣契約を締結
してはならないこととします。
また、(ロ)については、派遣元事業主が、
労働者の過半数で組織する労働組合
または労働者の過半数代表者と話し合い、
十分に派遣労働者の保護が図られると
判断できる労使協定を締結し、当該協定に
基づいて待遇決定を行うこととしています。
そして、
(イ)(ロ)のどちらの方式によるかを派遣先や
労働者が知りうるようにすること等についても
必要な措置を講ずることが適当だとしています。
③労働者に対する待遇に関する説明の義務化
等もさらに、短時間労働者・有期契約労働者、
派遣労働者のいずれに対しても、労働条件や
待遇についての説明義務を厳格化するとともに、
労働者が事業主に対し説明を求めたことを理由
とする不利益取扱いを禁止することが適当と
しています。
この他、行政による裁判外紛争解決手続の
整備等や有期契約労働者の就業規則作成・
変更時の意見聴取(努力義務)などが
盛り込まれました。

(2017年7月28日)