交通事故判例

 師走に入り、路行く人の足取りもどことなくせわしくなっていますが、昨年6月の道交法の改正にも拘らず相変わらず交通事故が多発しています。その中で、最近の交通事故事案をご紹介します。 ① 初めの事案は、幼稚園送迎用バスから下車した甲(女児)が、バスが発車してから急に飛び出して横断を開始した際、対向車線を60キロのスピードで進行して来た小型トラックが停止できずに衝突、ケガをさせたというものです。この判決(東京地裁)では、送迎バスから園児が降りるのを見ていた加害運転手には女児の飛び出しは予想できたとして、その賠償責任を認めましたが、同時に被害者の母親にも手を繋ぐなどして事故を防止すべきであったとして、過失相殺2割の責任を適用したのです。 ② 次の事案は、青信号に従って、制限速度60キロで交差点を通過しようとした乗用車がすれ違ったトラックの陰から、赤信号を無視して横断を始めた自転車を16メートル先に発見したが、急ブレーキも間に合わず衝突しケガをさせたというものです。裁判所は、運転手は、交差点ではたとえ信号が青でも周囲の状況を十分確認する義務があるとしながらも、制限速度60キロのところを35キロに減速してまで注意する義務はないとして運転手の賠償責任を否定しました。これらの事案では、被害者側にも一定の責任を認めていますので、皆さんも歩行時、運転時には十分にご注意された方が良いと思います。
(2003年12月)