労働者派遣事業に対する指導

派遣業界の不祥事が急増しています。
今年1月、厚生労働省は日雇い派遣 最大手の会社に対し、
違法な二重派遣や港湾運送業務への派遣を行っていたとして、
労働者派遣法に基づき事業停止命令を出しました。
また、昨年8月には、日雇い派遣業界2位の会社も、
港湾運送業務への派遣で事業停止処分を受けています。

厚生労働省によると、労働者派遣事業に関連して法令違反が
あるとして同省が文書で指導した件数は2006年度では62,081件
にのぼります。2002年度の同件数は600件、単純に比較すると、
4年間で10倍に増加していることになります。

文書指導件数が急増した背景には、労働者を派遣する事業所数の
大幅な増加があります。
2004年に製造業への派遣が解禁されたこともあり、
2002年度には全国で19,000強だった派遣事業所数は、
2006年度には50,000を超えています。
また、厚生労働省が派遣業界への監視を強めたことも
文書指導件数の急増に影響しています。

製造業などで「偽装請負」の問題が表面化したことを受け、
同省では、指導監督方針として、派遣と請負の区分基準を周知し、
偽装請負の解消等に努めていくことを明確にしています。

最近は、偽装請負の問題のほか、「二重派遣」問題も増えています。
これは、労働者の派遣を受けた企業がその労働者をさらに別の企業に
派遣するもので、労働者と企業の間の雇用・指揮関係があいまいになり、
仲介料や手数料が増えて賃金が減る可能性があるため、労働者派遣法
で禁じられているものです。

厚生労働省では、二重派遣の防止に向け、派遣先の企業に派遣労働者
が働いた場所などを記録する管理台帳の作成を義務づける方針です。
労働者派遣法の施行規則を改正し、4月からの実施を目指しています。