残業代不払いの事例

 最近は、労働基準監督署による残業代不払いの是正勧告が
頻発しています。

主なもので、下記が挙げられます。
①ミズノは18億円以上の不払いが発覚
残業代不払いの疑いで是正勧告を受けて社内調査に
乗り出していたスポーツ用品大手のミズノは、
従業員約2,000人に対する残業代の不払いが、
過去2年間で合計18億6,000万円あったと 3月初めに
発表しました。
同社では「労働時間改善委員会」を設置して勤務時間を
適正に把握する体制を整えるほか、不払い分の残業代を
3月の給与振込み時に一括で支払うとしています。

②近畿大学は1億円不払いで書類送検
近畿大学は、2007年1月から半年間にわたって事務職員
の残業代不払い(総額約1億円)を続けていたとして、
同大学と元人事部長が労働基準法違反容疑で大阪労働局に
書類送検されました。
不払いは元部長の独断によるものだったとされていますが、
同大学が2003年にも是正勧告を受けていることから刑事責任
を問うべきだと判断され、法人にも罰則を科す両罰規定が
適用されました。

厚生労働省の発表によると、2006年度に労働基準監督署
からサービス残業があったとして是正指導を受けた企業数
(その支払額が1企業当たり合計100万円以上となったもののみ)
は1,679社で、対象労働者数は182,561人、支払われた残業代は
総額で227億円1,485万円(企業平均1,353万円、
労働者平均12万円)となっています。
企業数は前年度比155社増で過去最高でした。

なお、1企業当たり1,000万円以上の支払いが行われた
企業数は317企業(全体の18.9%)、
対象労働者数は120,123人(全体の65.8%)、
支払われた合計額は181億5,200万円(全体の79.9%)
とのことです。

これらは、労働基準監督署による立入調査等により、
企業に対する是正勧告・指導が繰り返し行われているにも
かかわらず、残業代の不払いが一向になくなっていないことを
裏付けています。