ストレス その2

ところで、企業においても「ストレス」は無視できない問題の一つです。 従業員一人一人のメンタルケアに気を配るのは大変なことですが、そのストレスが従業員の意欲や士気を左右し、企業としてのサービスの良し悪しにも影響してくるとしたら社長さんも何らかの対策を考えざるをえないではないでしょうか。

 特に中小零細企業では、組織自体が小さいために、従業員一人一人のストレスの状況が、組織全体の雰囲気に及ぼす影響は大きくなります。大企業等においては、人材も豊富で部とか課とかの数も多いために、定期的に人事異動等を行なって、組織の疲弊をある程度防ぐことができます。しかし中小零細企業ではそうはいかず、少人数の同じ顔ぶれで長年にわたり組織を形成していくため、組織疲労は起こりやすくなってしまいます。

 従業員のたった一人のストレスが、組織全体を巻き込んで「組織のストレス度を激増」させていることも少なくはないのです。組織が「うつ状態」になると、業務の効率が落ち、雰囲気が険悪化、無気力化するだけでなく、ミスや事故につながる可能性も高くなります。場合によっては退職者が続出して、組織自体の維持が困難になることもあります。このような事態を前もって防止するためには、外部に委託してメンタルヘルスをチェックし、対応策を取り入れるなどの方法をとっている会社もありますが、会社として特に重要なことはやはり経営幹部の役割かと思います。

 「うつ状態」になった組織では、従業員の不満は行き所を失い、すべて幹部、経営者に向けられるパターンが多く見られるようになります。このような状態に陥ると、益々経営陣と一般従業員との間の溝が深まり、組織は悪循環を繰り返すことになるのです。この問題の解決策はその溝を埋めることだと思います。大変なことではありますが、経営幹部と一般従業員との間で十分なコミュニケーションが欠かせません。まずは経営陣が従業員に対して思い描いている漠然とした希望・期待水準を、実現可能な期待水準としてキチンと整理し、それを従業員と十分に話し合い、社内みんなで納得した水準として、持つことが肝心だと思います。

 つまり「希望・将来への展望」は、社内全員が「同じ希望・展望」として分かち合えることが重要なのではないでしょうか。

 経営者が孤立していては、組織としての「うつ・ストレス」は解消できません。特に今のような外部環境の変化が激しい時代には、組織は「うつ・ストレス」に陥りやすい状態です。企業における「ストレス・マネジメント」に一度目を向けてみては如何でしょうか。私も衰えてきたアタマとカラダを認識し、自分自身への期待水準もそれに合わせて調整していこうかと考えています。
(05/07)