「残業80時間」で立入り調査

政府は、労働基準監督官による立入り調査について、
1カ月の残業時間基準の引下げ(100時間→80時間)
を検討していることを明らかにしました。
長時間労働に歯止めをかけるため労務指導を強化し、
子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整える
ことが狙いで、対象者は300万人(2.7倍)に拡大する
ことが予想されています。
なお、法改正による規制強化などは見送る方向の
ようです。
また、厚生労働省は違法な長時間労働に対する
監督指導を強化するため、4月1日に全国の労働局
との調整を行う「過重労働撲滅特別対策班」
(略称:かとく)を省内に設けました。
さらに、「過重労働特別監督監理官」を全国47の
労働局に1人ずつ配置し、体制を強化しています。
同省は、労働基準監督官が不足していることから
「悪質性、違法性の高い所を優先して監督指導を
行う」方針のようです。
 平成27年4月から12月までに8,530事業場に
対して実施した、長時間労働が疑われる事業場
(月100時間超の残業が疑われる若しくは過労死に
関する労災請求があった事業場)に対する労働
基準監督署による監督指導の実施結果が
取り纏められました。
これによると、監督指導を行った8,530事業場の内、
半数を超える4,790事業場で違法な時間外労働が
確認された為、是正・改善に向けた指導が
行われました。
なお、このうち実際に月100時間を超える残業が
認められた事業場は、2,860事業場(59.7%)でした。
 近年、職場では過労死防止や女性の活躍推進に
向けた対策として長時間労働の是正が強くが
求められていますが、人手不足から長時間労働が
常態化している小売業などの業種は深刻な悩みと
なっています。
また、上記のように1カ月の残業時間基準の引下げ
が行われることによって、より一層適正な労働時間
管理をしていかなければならなくなります。
企業にとっては今後も引き続き、長時間労働を
減らすための体制作りや規定の見直しが必須と
言えるでしょう。

(2016年4月26日)