有期契約労働者の無期転換

2013年4月に施行された、有期契約社員でも、 契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合に 無期契約への転換を求める権利が与えられる 労働契約法18条のいわゆる「5年ルール」の規定が、 再来年の2018年4月から順次適用になります。 有期契約が更新されない「雇止め」の不安を解消し、 安定して働けるようにするのが目的とされています。 この「5年ルール」の適用が開始されることをも睨み、 ここ最近、パート社員などの「有期契約」社員を 「無期契約」に変える企業が増えているようです。 背景には「人手不足の中で人材を安定的に確保 したい」という考えがあるようです。 労働政策研究・研修機構の調査(2015年7~9月) によると、法改正に対応し何らかの方法で「無期 にしていく」と回答した企業は6割を超えました。 厚生労働省では、ホームページ上で導入企業の 実例(現時点で9社)を紹介しています。 法改正時に心配されていたのは、企業が無期 転換を避けるために5年より前に「雇止め」にしたり、 強引に5年以内の契約上限を設けたりするという 動きでした。しかし、今のところそうした動き は少ないようです。企業側も、無期にするメリット として「長期勤続が期待できる」、「要員を安定的 に確保できる」という理由を挙げた割合が 増えているようです。 景気の回復基調のなか、人手不足により人材を 囲い込むメリットがあると考える企業が増えて いるようです。 経団連は、今後は人材獲得が困難になるとして、 「無期転換の仕組みを整備することは労働者への 大きなアピールとなり、前向きに検討すべきだ」と しています。ただ、企業は無期転換しても賃金等を 変える必要はありません。労働政策研究・研修機構 の調査でも4分の1程度の企業が「対応方針は 未定・わからない」と答えています。 (2018年4月5日)