「未払賃金立替払制度」

不況の影響による企業の倒産が連日のように報道されていますが、
倒産に伴う退職労働者に国が未払いの賃金を立替払いする
「未払賃金立替払制度」の利用件数も増加しているようです。
2008年度における支給者数は5万4,422人、支給総額は248億円と、
ともに前年比6%増となっています。
また、企業数は3,639件(前年度比8.7%増加)、支給者1人あたりの
平均立替払額は45万6,000円でした。
なお、 2008年度下半期に限ってみると、同年上半期と比較して
37%も増加しています。

未払賃金の立替払制度は、企業の倒産に伴い、賃金が支払われないまま
退職を余儀なくされた労働者に対して、国が未払賃金の一部を事業主に
代わって立替払いする制度です。
この業務を行っているのは「独立行政法人労働者健康福祉機構」です。
◆利用の要件は、下記の通りです。

(イ)事業主に係る要件
労災保険の適用事業の事業主で、かつ1年以上事業を実施していること、
法律上の倒産(破産手続開始の決定、特別清算開始の命令、再生手続開始
の決定、更生手続開始の決定)をしたことが要件となります。
なお、中小企業の場合は、事実上の倒産(事業活動停止、再開見込みなし、
賃金支払能力なし)でもよいとされています。

(ロ)労働者に係る要件
破産手続開始等の申立て(事実上の倒産の認定申請)の6カ月前の日
から起算してその後2年間に退職したこと、未払賃金額等について、
法律上の倒産の場合には破産管財人等が証明(事実上の倒産の場合には
労働基準監督署長が確認)すること、破産手続開始の決定等
(事実上の倒産の認定)の日の翌日から2年以内に立替払いの請求を
行うことが必要です。