紹介予定派遣

 「紹介予定派遣」とは、「一定の期間、企業に派遣され、その期間が終了すると正社員として採用される派遣契約」をいいます。派遣される期間の設定は、大半の企業で1~3カ月程度としていて、最長でも6カ月間としています。派遣期間終了後は、従業員側の「この会社で働きたい」という意思と、企業側の「この人に働いてほしい」という意思が合意した時に正社員雇用が成立します。したがって、派遣期間が終了すれば、必ず正社員になれるというわけではなく、合意に至らない場合は派遣契約も終了します。

 ①紹介予定派遣の実稼動状況  

日本人材派遣協会の調べでは、主要108社の平成17年9月の紹介予定派遣の実稼働者数は前年9月と比較して、61.9%増の3,366人に達しています。平成16年3月から2ケタ増の稼働率が続いており、16年7月以降は50%を超える高水準を維持している状態です。平成16年3月に施行された「改正労働者派遣法」で、これまで禁止されていた紹介予定派遣対象者の事前面接を解禁しています。この法改正の施行により企業にとっては使い勝手がよくなったため、大幅な需要拡大に結びついているようです。

 ②紹介予定派遣のメリット  

企業側にとって、何度も求人募集をかけ面接し、時間をかけて採用しても、すぐに辞められるという状況を繰りかえすより、試用期間で企業にふさわしい人材かどうか判断でき、良い人材が確保しやすいと言う点と、解雇トラブル回避(社員を一旦採用すると、試用期間は、解雇権留保付の雇用契約の締結となり、その期間中の解雇であっても一定の制約がありますが、この紹介予定派遣であれば、期間が到来し、その人物が自社にとって相応しくないということであれば、派遣契約を終了させるだけで可)のであれば、紹介予定派遣を利用する効果は相応に見込めるのではないでしょうか。また、従業員側にとっても、”学校を卒業したばかりで職務経験がないので不安、一定期間職を離れていていきなり従来と違う職種の会社で正社員となるのには自信がない、まず自分が働く会社がどんな内実か見てみたい”等々色々な希望がある場合に、この制度を活用する効用があるでしょう。

 メリットは企業と従業員だけではありません。仲介する人材サービス会社にも、派遣している期間の一定料金とは別に、紹介が成立すれば決定者の年収の約3割を報酬として得ることができます。 このように、この制度は種々の方面でメリットが云われており、今後もまだまだ需要が高まるようです。 (06/02)