企業年金制度の改定

 今般の年金関連一括法案の国会通過に伴い、企業年金制度についても下記の通り、大きな改定が行なわれることになります。

平成16年10月以降
確定拠出金掛金の非課税限度額が引上げられます 企業型(他の企業年金がない場合)の現行非課税限度額:月額3万6000円が4万6000円に、又、他の企業年金がある場合の現行:1万8000円が2万3000円に夫々引上げられます。個人型(会社員)の場合も、現行の1万5000円が1万8000円に引上げられます。
確定給付型年金から確定拠出型年金への移行に際し、移換できる資産の制限が撤廃されます 従来は、制度移行時に「従業員毎に、勤務開始当初から確定拠出年金を実施していたと仮定した場合の拠出限度累計額及びそれに一定の利息を付与した額の元利合計額」が移換可能資産額限度とされていましたが、この制限が撤廃されます。
平成17年4月以降 税制適格年金(平成24年3月末を以って実質的に廃止される)から中小企業退職金共済への資産移換限度額(従来は、従業員毎に掛金の120ヶ月分までに制限されていた)が撤廃されます。
平成17年10月以降
転職時の年金資産の移行制限の撤廃 従来は、確定給付型の企業年金加入者が転職する場合、それまでの積立金は一時金で受取らざるを得ませんでした。ただ、厚年基金の加入者であれば、厚生年金基金連合会という「通算センター」に積立金を移して60歳以降年金として受取ることも可能でしたが、確定給付企業年金にはこの仕組みがありませんでした。然し、平成17年10月からは企業年金の通算制度が拡充されます 転職先の企業年金に「資産の受入規程」があれば転職先にこれまでの企業年金の積立金を移し、老後に纏めて年金として受取ることも可能となります。また、転職先に企業年金そのものが無かったり、「資産の受入規程」が無い場合は、現在の厚生年金基金連合会を「通算センター」として利用できるようになります。従って、厚年基金の加入者と同様、連合会に資産を移換することができるようになるのです。但し、確定拠出年金から確定給付型の企業年金への資産移換(連合会への移換も含む)は認められません(反対に確定給付型の企業年金から確定拠出年金への資産移換は可能です)。
確定拠出年金における中途引出要件も緩和されます。従来、資産が少額の場合でも60歳まで中途引出ができないため、その間かかる手数料で資産が減少または消失してしまうとの問題が指摘されていましたが、資産が50万円以下等の場合であれば中途引出が可能となります。 (2004年6月)