飲酒運転による退職金不支給

京都市の中学校の元教頭(52歳)が2010年4月に自宅で
飲酒した後に自家用車で外出し、さらに車内でも飲酒し、
物損事故(車に追突)を起こしました。
その後、この元教頭は「懲戒免職、退職金全額不支給
処分」となりましたが、この不支給処分の取消しを求めて
訴訟を提起しました。
一審(京都地裁)では、原告側が勝訴(全額不支給処分は
取消し)となりました。
然し、この訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、原告側
勝訴となった上記の一審判決を取消し、元教頭の請求を
棄却しました(平成24年8月24日判決)。
そして、請求棄却の理由として、大阪高裁は、
「飲酒運転の内容は極めて悪質・危険であり、これに
対する非難は大きく、公教育全体に対する信頼を失墜
させた」とし、更に「学校教育に貢献して勤務状況が良好
だったことを考えたとしても、処分に裁量権の乱用があった
とはいえない」と判断しました。

本件は、高裁レベルながら、飲酒運転事故を理由とする
懲戒解雇とそれに伴う退職金全額不支給処分が、重大な
人身事故だけではなく、物損事故にも認められたのが
留意点です。
昨今、飲酒運転事故に対し、社会の目は厳しさを増して
いますので、社員(特に業務上車両を運転する社員)には、
飲酒運転不可を改めて厳しく指導しておくことをお勧めします。

(13年12月28日)