「介護休業」の判断基準緩和

介護休業制度とは、家族を介護している労働者が
最長93日間の休業を取得することができ、その間、
介護休業給付として休業前賃金の40%相当額を
受け取ることができる制度です。
要件を満たす非正規労働者も取得できますが、
取得割合は約16%にとどまり、年間約10万人が
「介護離職」をしていると言われ、制度が十分に
機能していないという問題があります。
介護離職者には企業の中核を担う40~50歳代の
人も多いことから、制度を活用しやすくするための
改正案が今年の通常国会で成立し、来年1月1日
から施行されることとなりました。
主な改正点は、
①最大3分割で取得可能(上限93日間)、
②祖父母や兄弟姉妹のための介護休業の
  同居要件廃止、
③介護休業給付金の支給率を67%にアップ
の3点です。
 
上記改正法の施行に合わせて、厚生労働省は、
介護休業の取得基準を緩和する方針を
決めました。現行基準は特別養護老人ホームへ
の入所が必要かどうか(要介護2~3程度)が
目安となっていましたが、介護認定と連携して
いないためわかりにくいという声もあり、
介護休業の利用低迷の一因ともなっていました。
新基準では、要介護2以上なら休業を取得できる
ことが明記され、要介護1以下でも、見守りの
必要度に応じて休業が取得できるようになります。
 上記の通り、介護休業制度については
来年1月1日から施行される改正法の影響もあり、
企業は就業規則や育児・介護休業規程の見直し
が必要となります。
また、取得基準の緩和により、取得の可否に
関する相談や取得希望者が増えることが予想
されますので、情報提供や相談対応ができる
ようにしておく必要もあるでしょう。
2016年中の対応が求められる事項ですので、
漏れのない準備を進めるようお勧めします。

(2016年7月28日)