育児休業中の他社勤務

一定の要件を満たした育児休業取得者は、手続きを
行うことで、雇用保険から育児休業給付が支給され
ます。
この育児休業給付は、育児休業中の所得補償であり、
一定額以上の給与が支給されていたり、一定時間数
以上の就業があると、支給額が支給調整(減額)
されたり、支給停止となることがあります。

 近年、人手不足、テレワークの環境整備、女性の
活躍支援、働く女性の意識の変化等から、育児
休業中であっても在宅等で仕事する女性も出て
きており、更にわずかながらですが、男性も育児
休業を取得するようになっており、育児休業取得中
に他社で勤務することが発生するようになりました。
 育児休業給付の支給調整については、支給単位
期間中に就業している日が10日を超えて、かつ就業
している時間が80時間を超えるときは、支給されない
ことになっています。この場合、他社で勤務した
ときの就業日数・時間数が問題になりますが、
これについては、厚生労働省から「この就労した
日数・時間は、在職中の事業所以外で就労した分
も含まれます。」というQ&Aが公開されています。
ただし、他社から支給された賃金は、育児休業
期間を対象として支払われた賃金の算定に
含まれないことになっています。
 事業主としては育児休業中に他社で就労する
ことのイメージすら沸かないかもしれませんが、
今後、副業・兼業の解禁へと本格的にシフトした
ときには、一方の会社で育児休業を取得しながら、
他方の会社でより長い時間を勤務するというような
ことも考えられます。育児休業取得者には、適切な
取扱いができるようにあらかじめ会社方針を説明
しておいたほうがよいのかも知れません。

(2018年2月27日)