交通事故発生時の企業責任

   交通事故の発生が最も多いのは12月、次いで7月です。
いずれも長期休暇のタイミングで交通量が増加することが
一因と考えられていますが、特に7月は、「天候」も事故の
大きな要因となっているようです。この季節は、梅雨や台風など、
夏特有の天候の急変に特に注意が必要です。
 たとえば、梅雨時は、視界が悪化したり、雨音で外部音
が遮断されたりすることなどによって注意力が散漫に
なりがちですし、スリップ等の危険もあります。さらに、台風等で
急に激しい雨風に見舞われる場合には、乾燥していた道路に
溜まっていた泥や埃が水分に混ざり、通常の雨の場合よりも
さらに滑りやすくなることが指摘されています。
このような悪天候下では交通事故も起こりやすいのですが、
従業員が起こした自動車事故については、事業者が責任を
問われることもあり得ますので、注意が必要です。
主なケースには、下記があります。
① 社有車で業務中に起こした事故で
は企業や管理者の側が運行供用者となり同時に使用者責任
も負うことは広く知られていますが、無断で社有車を私用に
使っていた場合の事故であっても、従業員が社有車を私用
するまでの経緯やそれが業務とどう関連するのか、日常の
使用状況等を総合的にみて判断されます。
② マイカーでの事故も、企業が業務で
マイカーを使うことを認めていた場合、原則的には社有車を
使用していたのと変わらないため、会社の運行供用者責任や
使用者責任が問われます。マイカー通勤時の事故についても、
企業が積極的にマイカー通勤を推奨しているような場合には、
企業の責任が発生する可能性が高くなります。
従業員の交通事故において、企業側が責任を免れることは
とても難しいのが実態です。

  これを踏まえれば、交通事故の危険性が高くなるシーズン
を前に、改めて安全運転について徹底することが求められでしょう。
業務や通勤で自動車を使用する従業員に対しは、再度の教育を
行うことも有効かもしれません。
(2019年5月30日)