「退職金制度」への関心高まる

人生100年時代を迎え、所謂「老後2,000万円問題」
(退職後の収入が公的年金だけでは、老後資金が
2,000万円不足するという説)がマスコミで大きく
取り上げられたことで、老後の資金問題に関心が集まり、
証券会社の開催する投資セミナーには、多くの人が
集まっているそうです。
内閣府が8月30日に公表した2019年度の「国民生活に
関する世論調査」結果によれば、現在の資産や貯蓄
について「不満」「やや不満」と答えた人の割合は
計54.3%で、前年より2.1ポイント増えました。
一方、現在の所得や収入に「不満」「やや不満」は
0.8ポイント減の計45.6%で、所得や収入については
3年連続で「満足派」が「不満派」を上回る結果と
なっています。
 内閣府政府広報室によると、資産や貯蓄に関する
不満が高まった理由に、「老後2,000万円問題」が
影響した可能性はあるということです。
 そうしたなか、厚生労働省の社会保障審議会
企業年金・個人年金部会で検討された個人型
確定拠出年金(iDeCo)の制度見直し案にも関心が
高まっています。
同部会では、全ての会社員がiDeCoに加入できる
ようにするとともに、現在の60歳から65歳へと
加入可能年齢を引き上げる等の見直しを含む
改正法案を、来年の通常国会に提出することを
目指すとしています。
 公的年金の所得代替率が現役の5割程度となること
を目標に現在の年金制度の維持が図られるようですが、
それだけでは老後の必要資金としては十分とは言えず、
資産形成のため何らかの自助努力をすることは、
もはや不可欠なようです。
 上記の制度見直しでは、iDeCoのみに限らず
企業型確定拠出年金についても、企業の事務負担を
軽減したり、導入のハードルをより低くするなどの改定案
が検討されています。
 現在、従業員数300人以下の中小企業で一時金や
年金の形で退職給付を支給する企業の割合が年々
下がっています。
然し、今般のこうした公的制度の見直しを機に従業員の
資産形成を支援する自社制度を導入し、若者に長く安定して
働いてもらえる会社としての魅力をアピールしようとする
企業も増えて来ています。

(2019年9月28日)