「同一労働同一賃金」対応

国税庁が租税負担の検討のために例年実施している
「民間給与実態調査」の最新版が、先般公表されました
(2018年12月31日現在の源泉徴収義務者が対象)。
調査によれば、昨年中に民間の事業所が支払った給与の
総額は、223兆5千億円(前年対比3.6%増)で、給与総額の
増加は7年連続のことです。
また、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの
平均給与は440万円(同2.0%増)でした。
この平均給与を正規・非正規雇用別でみると、
正規504万円(同2.0%増)、非正規179万円(同2.2%増)で、
正規・非正規間では、給与に倍以上の格差があることが鮮明
となりました。
2020年4月には、所謂「働き方改革関連法」
(新パート・有期法、改正派遣法等)による「同一労働同一賃金」が
いよいよ適用され、企業は正規・非正規雇用での不合理な給与の
格差を禁じられることとなります
(ただし、パート・有期法の中小企業への適用は2021年4月から)。
改正法の適用開始により、非正規雇用の平均給与は来年以降も
増加するでしょう。
日本経済新聞(2019年9月21日付)が実施した「社長100人アンケート」
によれば、同一労働同一賃金に対応した制度の導入により人件費が
「増える」「どちらかといえば増える」と回答した企業は46.9%でした。
但し、既に同一労働同一賃金に対応した制度整備を終えた企業のうち、
「基本給・給与」を見直した企業は少なかったようです。
同アンケートでは、非正規雇用に賞与支給を開始する企業は10.5%、
非正規雇用の基本給を正規雇用並みに引き上げる企業は7.0%と
少数でした。
一方で、「手当・福利厚生」を見直したという回答が多く、例えば
「時間外・深夜・休日手当の割増率」を見直した企業は17.5%だった
とのことです。
企業によって対応に差はありますが、給与を中心とする待遇格差の
是正や、そのコストへの対応が必要です。
大手他社の動向も参考にしつつ、対応を急ぐ必要があるでしょう。

(2019年10月30日)