退職金の受け取り方

 第二の人生の貴重な財源である退職金ですが、税制適格年金の平成24年の廃止が決定しているなど、企業が制度の見直しを進める中、どのように受け取れば退職者に有利なのか、その判断が難しくなっています。どの受け取り方が得なのかについては、税金や自らの生活設計など、考慮すべき材料が多くありますので、人生設計を確認しながら、自らで判断するしかありません。
 ◆退職金とは
  退職金は給料とは違って労働の対価ではないため、使用者にとって支払う義務はありません。また、退職金について、法律上必ず支払わなければならないという規定ありません。就業規則等で定め、支給基準が明確にされている場合に、労働条件の1つとして保護されるものです。
 ◆退職金の性質
  退職金は本来、使用者が任意に恩恵的に支給するものであるので、はじめから退職金制度がなければ、退職金の支払義務は発生しません。 退職金の性質としては一般的に「功労報償」、「賃金の後払い」、「老後保障」という考え方があるとされています。
 ◆一時金で受け取る
  退職金を一時金で受け取ると「退職所得」として勤続年数に応じた控除を受けることができ、控除された金額のさらに1/2に対して税率がかけられます。また、控除を超える分についても他の所得とは分離課税されます。退職金の性質を考慮し、税制面ではとても優遇されていることがわかります。
 ◆年金で受け取る
  退職金を年金で受け取ることができる企業年金制度を取り入れている企業は多くありますが、年金制度があっても、一定の条件を満たさなければ受給できないなどの要件が定められている場合がありますので、自社の制度を事前によく確認しておく必要があります。 年金形式で受け取ると、国民年金や厚生年金などと合わせて、公的年金等控除を超える分については、雑所得として課税されます。なお、再就職などで収入があれば、額に応じて税率が上がることもあります。 数年前までは、”長い目でみれば年金で受け取る方が得”というのが常識でしたが、年金換算率(原資を運用する際に会社が保証する利回りのこと)を下げる企業が増え、一概にそうは言えなくなってきています。
(2005年3月)