60歳定年後社員は全員雇用が必要ですか?

当社では、来年以降60歳の定年に達する社員が次々と出てきます。その中には、定年で辞めて貰いたい社員と定年後も努めて貰いたい社員が混在しています。このような場合、会社の判断で勤務を継続して貰いたい社員を選別しても問題ないでしょうか?それとも希望者は全員雇用しなくてはいけないのでしょうか?
ご質問に対応する法律は、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」 ですが、この度一部改正されました。 今回の改正では継続雇用制度の対象となる高年齢者を、事業主が労使協定 で定める基準によって限定できる仕組みを廃止する取扱いがその中心と なっています。然し、この基準制度の廃止には経過措置が設けられています。 平成24年3月9日に国会に出された法律案での経過措置の内容は、 以下の通りとなっています。 今回の法改正の狙いは雇用と年金を確実に接続させ、定年後無年金・ 無収入となってしまう人が出るのを防ぐことにありますので、 経過措置として、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引上げに あわせ、継続雇用制度の対象となる年齢を以下のように設定している のです。
(1)平成25年4月1日~平成28年3月31日:61歳
(2)平成28年4月1日~平成31年3月31日:62歳
(3)平成31年4月1日~平成34年3月31日:63歳
(4)平成34年4月1日~平成37年3月31日:64歳
(5)平成37年4月1日~ : 完全施行
(希望者全員の65歳までの継続雇用)

この経過措置により、
例えば平成25年4月1日から平成28年3月31日までの3年間は61歳
までは希望者全員の継続雇用が求められる一方で、62歳以降は
労使協定の締結による基準制度を導入ができることになります。
この法案については既に閣議決定がなされており、平成25年4月の
施行はほぼ確実と予想されます。
法律施行後、実務レベルでは就業規則や労使協定の見直しが
求められることとなるでしょう。
規則の改定等で必要ある場合は、弊事務所にご相談下さい。

)2012年5月28日)