業務災害を受けた契約社員も雇止めできる?

当社の契約社員(Aさん)が、仕事中に高所から転落して3カ月ほど入院することとなりましたが、Aさんの入院中に契約期間が満了となります。この場合、会社はAさんが休業中であっても予定通りに期間満了としてその後の更新を行わなくても問題はないでしょうか?
労働基準法第19条第1項では、業務上災害による休業期間中とその後 30日間について、労働者を解雇することを原則として禁止しています。 では、有期労働契約の期間満了日が上記期間中に到達する場合、 その満了日をもって雇止めを行うことは同条違反となるのでしょうか。 この点について、行政解釈では、「一定の期間又は一定の事業の完了 に必要な期間までを契約期間とする労働契約を締結していた労働者の 労働契約は、他に契約期間満了後引き続き雇用関係が更新されたと 認められる事実がない限りその期間満了とともに終了する。 したがって、業務上負傷し又は疾病にかかり療養するため休業する 期間中の者の労働契約もその契約期間満了とともに労働契約は終了 するものであって労働基準法第19条第1項の適用はない」としています。 但し、一言で「有期労働契約」といっても、 ①純粋な有期労働契約と認められる場合、 ②期間の定めのない労働契約と同視できるような実態が認められる場合、 ③契約更新について労働者に合理的な期待が生じていると認められる場合 の3つがあります。 ①の場合は期間満了とともにその契約は終了するため、解雇に問題は ありません。然し、②、③に該当する場合は、期間の定めのない 労働契約と同様に、業務上災害で休業期間中とその後30日間は解雇 できないこともありますので、注意が必要です。
(2012年9月25日)