厚生年金の強制加入

 厚生年金に加入する企業が減り続けています。減少は5年連続です。ピークの1997年度比で約7万社減り、2002年度末の加入事業所は162万8,841社です。 厚生年金と対象がほぼ重なりますが、負担が比較的小さい雇用保険は、2002年度末で201万9,000社が加入しており、厚生年金はその8割に過ぎません。 厚生年金は、全ての法人の事業所と、個人が営む従業員5人以上の事業所(一部職種を除く)に加入義務があります。
 然し、社会保険庁が2002年度に登記簿から把握した全国の新規法人約9万6,000を調べたところ、約18%にあたる約1万7,000法人が、加入義務があるのに未加入でした。加入法人が脱退する例も増えています。不況による廃業などのほか、保険料を節約する目的の未加入事業所が相当数あります。虚偽の全喪届もあるとみられています。厚生年金保険法には加入義務の違反に対して罰金などの罰則がありますが、適用された例は殆どありません。
 社会保険庁は、新設の適用徴収対策室が中心になり、05年度にも新規法人の調査を毎月行って、未加入事業所を厳密に把握する方針です。 加入を求めても拒否し続ける事業所は、労働実態や従業員数なども考慮したうえ、強制的に厚生年金に加入させ、適用事業所として保険料納付を強く求めていくことも検討しています。 加入事業所が保険料を滞納した場合、現在でも資産の差し押さえで徴収できますが、実態的には厚生年金は、事実上、届出制になっていたのです。 然し、保険料の負担者が減少するといった空洞化を受け、愈々社会保険庁も保険料徴収に本腰を入れざるを得なくなったようです。
(2004年5月)