有期雇用社員の有給休暇日数はどうするの?

当社には、雇用契約期間1年の契約社員が数名おりまして、今般更に1年の契約を更新することになりました。今回このまま契約更新をした場合、年次有給休暇の日数はどうなるのでしょうか? 
この問題の本質は、年次有給休暇について定めている労基法第39条第1項の
「継続雇用」をどう考えるかにあります。
労働契約が継続しているか否かは、形式的ではなく実質的な点で判断
されるので、有期雇用契約の場合も、
①勤務の実態、当該雇用契約の期間、各雇用契約ごとに契約終了させて
新らたに雇用契約を締結する形態をとる理由、当該雇用契約と次に締結
される雇用契約との間隔、

②雇用契約締結の際の採用手続、③有給休暇が付与されている他の
労働者との均衡等を総合して、雇用契約が継続しているか否か、を
実質的に判断されることになります。

判例においても、競馬が開催されるごとに雇用契約が締結されていた
馬券の販売員に、年休取得を認めています(日本中央競馬会事件)。
また、1年単位の雇用契約であっても、毎年更新がなされ、中断すること
なく雇用されている場合は、年休日数の算定において継続勤務したものと
して取り扱い、勤続年数を通算すべきものとした判例もあります
(国際協力事業団事件)。

有期契約を繰り返すことは、雇用の安定を阻害することに加え、労働者
を不安にさせます。
“年次有給休暇を取得させない”という事を目的に短期雇用契約を反復する
ということが若しあれば、それは正に本末転倒と云われても仕方ないでしょう。