労基署による送検事例は?

労基署は、酷い労基法違反は送検すると聞きましたが、最近はどんな事例が送検されているのですか?
東京労働局では、労働基準監督署が送検した事例をホームページ上で
公表しています。ここでは、労災事故に関連した最近の送検事例を
見てみましょう。
①労災かくしで道路旅客運送業者 を書類送検
平成24年2月、タクシー会社の駐車場で労働者がハイヤーを洗車して
いたところ、転倒して手首を骨折し、休業4日以上に及ぶ労災事故が
発生しました。
労働安全衛生法では、「休業4日以上」を要する労災については、
遅滞なく所轄労働基準監督署長に「労働者死傷病報告」を提出する
ことを義務付けていますが、この会社は労災の発生を隠ぺいするため
報告書を提出していませんでした。
中央労働基準監督署は、タクシー会社と営業所長を労働安全衛生法
違反の容疑で、平成25年8月に東京地方検察庁に書類送検しました。
②工事現場の墜落死亡災害で書類送検
平成24年4月、高架橋の防風柵新設工事現場で、建設工事業者の
労働者(当時19歳)が、つり足場の組み立て作業中に足場から
約13メートル下の運河上に墜落して死亡しました。
労働者につり足場の組み立て作業を行わせる場合は「足場の
組み立て等作業主任者技能講習」を修了した者の中から作業主任者
を選任し、作業主任者に作業の進行状況および保護帽と安全帯の
使用状況を監視させなくてはなりません。
然し、この工事業者は、選任した作業主任者が当該現場に不在であり
作業の進行状況と安全帯の使用状況を監視していないことを知って
いながら、被災労働者らに作業をさせていました。
亀戸労働基準監督署は、工事業者と工事部長を労働安全衛生法違反
の疑いで、平成25年9月に東京地方検察庁に書類送検しました。

●労基署関連のドラマがスタート
労基署が送検を行うのは特に重大な事案の場合に限られますが、
「労働安全衛生法違反」以外にも、「労働基準法違反」や
「最低賃金法違反」等で送検を行うことがあります。
なお、この10月から、労働基準監督官を主人公としたドラマ
「ダンダリン」(日本テレビ・水曜22時~)の放送がスタートした
こともあり、今後、労働基準監督署や労働基準監督官に注目が
集まるかもしれません。

(2013年10月29日)