Q&A

私共は、社員80名の建設会社ですが、退職金積立として、某生命保険会社の「適格退職年金」と「建退共」に加入しております。あるセミナーに参加して得た情報により、「適年」の移行先に関しては「中退共」を考えていましたが、移行出来ないと言われました。どういう事でしょうか?
平成24年3月31日に税制適格が廃止となる現在の「適年」は、それまで に他の企業年金等に移行させなければなりません。おっしゃる通り、中小企業の実質的な移行先として、「中小企業退職金共済」があります。 企業規模としては、貴社はクリアしている様ですが、加入出来ない従業員と いう内容が下記の通りとなっています。

1.現に中退共制度に加入している従業員
2.現に特定業種退職金制度に加入している従業員
3.現に社会福祉施設職員等退職手当制度に加入している従業員

つまり貴社の従業員の場合は、(2)の制度である「建退共」に加入したままで、「中退共」に同時加入出来ません。現状のままでは、「適年」資産を 「中退共」に移行する事は出来ない訳です。 他の手段としては、「建退共」を一旦解約して「中退共」に加入する、最近 中小企業加入が増えている「総合型401K」に加入する・・・等が考えら れます。
いずれにしても、御社独自の手法を検討する必要がありますので、専門的な 知識を持った社会保険労務士、又はコンサルタントへご相談することをお勧めします。

当社では以前から社内全体の賃金総額で労働保険の年度更新を行っておりましたが、手続き上誤っているのではないかと指摘を受けました。どこがおかしいのでしょうか?
労働保険の対象はその名のとおり「労働者」です。 よって、代表者を含む役員は労働保険の対象には入らないので賃金総額から 除外する必要があります。
よくあるケースですが、生え抜きの従業員を役員登用したにもかかわらず、 労災保険並びに雇用保険がそのままになっているケースも注意が必要です。兼務役員であれば労働者として勤務し、賃金を受けた部分に関しては労働保険の適用が受けられますが、それ以外は労働保険は適用されませんので、このような部分に対応する保険料は無駄になります。 このような事実が発覚した場合、「還付請求手続き」を行うことによって、過去2年のみですが保険料の還付が受けられます。 過去2年の申告書の控えや賃金台帳、登記簿謄本など労働者ではなかったことを証明する書類を用意して労働基準監督署にご相談ください。監督署への 持参もしくは事業所への調査など、担当の労働基準監督署の指示があるはずです。
蛇足ですが、このような状態で加入されていても、いざ事故が発生した場合 に保険給付が受けられるかどうか、疑義が生じますし、兼務役員等であれば、 雇用保険上も手続きが必要ですので、あわせて公共職業安定所もしくは我々 社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
従業員が業務中に交通事故に遭って1ヶ月休みました。この交通事故は全面的に加害者に過失があったため相手の保険による補償を受けることとし、労災保険の給付申請は行いませんでした。労災保険での休業補償は受けられないのでしょうか。
労災保険では、その災害の発生の原因が第三者の行為によるものを「第三者行為災害」といいます。第三者行為災害で加害者から損害賠償が行われた場合に労災保険の給付も行うと、同一の事由について損害賠償が重複して行われることになるので、休業補償給付は受けることができません。 但し、休業特別支給金を受給することができます。休業特別支給金は、休業1日につき給付基礎日額(おおむね1日当たりの賃金)の100分の20が支給されます。この特別支給金は、第三者行為災害の場合の損害賠償との給付調整の対象となりませんので、申請することによって受給することが可能です。申請書は通常の労災の給付申請書と同一です。特別支給金の申請を行う際には、第三者行為災害届の提出が必要です。これにより加害者からの損害賠償を把握することで、労災保険の給付が調整されることになります。