パート社員にも退職金を支給するの?

当社は、正社員には退職金を支給しますが、パート社員には支給していません。 今まで特にクレームをつける人もいませんでしたが、法的にはどうなのでしょうか?
「退職金有り」の会社で、パート社員にも退職金を
支払うべきか否かは、会社の退職金規程等の規定内容
などによります。従って、規程等の規定の仕方次第では
パート社員にも退職金を支払わざるを得なくなる可能性
が出てきますので、注意が必要です。
具体的には、以下の2点に注意して退職金規定等を
チェックする必要があります。
第一に、「退職金規定が正規社員と非正規社員とで
区別しているか」です。
①退職金を正社員と非正規社員とで異なる処遇を
する場合には、「退職金は別の取扱いをする」という
規定をするか、
②個別に非正規社員独自の就業規則等を作成する
必要があります。
従って、就業規則が正社員と非正社員とで同一で、
その中の退職金に関わる規定が両者を区別していない
場合には、非正規社員に対しても正社員と同様の
支給基準で退職金を支給する義務が出て来る可能性が
あります(大興設備開発事件・大阪高判平9・10・30)。
第二に、「有期契約社員と無期契約社員で不合理な
差別がされていないか」です。
改正労契法20条(平成25年4月1日施行)では、有期契約
社員と無期契約社員との労働条件について、不合理な
差別をすることを禁じています。
従って、合理的な理由が無いのに、無期契約社員のみ
に退職金を支給したり、両者の間に著しい金額格差が
あるときなどは不合理な差別として同条違反となる
可能性が出てきます。
そして、仮に法違反とされた場合には、その差別規定は
無効とされ、有期契約社員にも無期契約社員と同様の
基準にしたがって退職金を支払わざるを得なくなる可能性
もありますので、ご注意下さい。
(2016年4月5日)