治療中の社員は定期健診を受けさせなくてもOK?

当社は、社員に対して年1回の定期健康診断を実施していますが、社員の中に治療中疾病があって通院病院でチェックしているので、定期健診は受けたくないという者がいますが、定期健診を受けさせなくてもいいのでしょうか?
定期健康診断は1年に1回の実施が義務付けられて いますが、その狙いは、健康状態を調べるとともに、 疾病の有無や、その兆候を見つけるところにあります。 つまり、疾病の予防と早期発見・早期治療のためにも、 健康診断は欠かすことのできないものなのです。 健康診断を実施することは事業者の義務であり、受診 することは労働者の義務ですが、労働者に対しては 法律上の罰則はないため、業務多忙等を理由に健康 診断を拒否する労働者もいます。 そこで、企業は受診拒否を回避するための工夫が必要 となります。受診拒否を懲戒処分の対象とすることなども] 効果的ですが、何より大切なことは、健康管理の重要性と、 そのための健康診断受診の重要性を啓蒙し、受診への 意識付けを行っていくことです。 この取組みは、早期に始めたいものです。 疾病の治療等で通院したりしている方の中には、「普段から 病院で診察を受けているから、健康診断は受けなくてもよい だろう」と考えて健康診断を受けない方もいます。然 し、このような場合も、健診受診は必要です。 また、通常の診療では、治療中の疾病に関わる検査以外は 行われません。それ以外の部位の異常を早期発見するために、 全身を定期的にチェックすることは、健康管理にとって重要 なことです。負担軽減の観点から、医療機関で治療中の 労働者については、健康診断にあたり、エックス線写真など 主治医においてすでに取得されているデータを取得・活用 して診断することが認められるようになりましたので(平成29年 8月3日基発0804第4号)、この点も伝えるとよいでしょう。 せっかく受診しても、その結果には無関心だったり、再検査の 指示を受けても放置したりといったこともあります。 せっかく受けた健診を無駄にしないためにも、結果を 健康保持・増進に活かすための啓蒙・意識付けにも取り組んで おきたいものです。 2019年2月27日)